最近購入して良かった本・文学編
3日連続更新の最後、児童文学編です。
ネタバレ注意!
(完全に結末がわかるような書き方はしていませんが)
- 作者: 安房直子,田中清代
- 出版社/メーカー: 偕成社
- 発売日: 2012/01/18
- メディア: 単行本
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安房直子さんの心あたたまるお話に、
田中清代さんのやさしい絵。
絵本にしても良いのですが、サイズが少し小さく
お話も長めなので913に分類しました。
低学年向けですが、何年生でも楽しめるかな?
- 作者: 沢木耕太郎,浅野隆広
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/03/31
- メディア: 単行本
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これは散々迷った末に、結局入れました。
沢木耕太郎さん初の児童文学作品。
海の事故で両親を亡くし、周囲の憐憫の情に
耐え切れず、引きこもってしまう主人公。
そんな時に湖のそばで出会った不思議な少年。
この少年は、主人公が両親と死別したという
自分自身を映す鏡となり、
自分の境遇を見つめ直すきっかけとなっている。
そして、一緒に暮らすおじいさんは、
主人公を両親の死という悲しみから
「ゆっくりと立ち直る時間」を与えてくる。
主人公に必要なのは、いたわりや救いではなく、
この自分のペースで、そして自分の力で、
ゆっくりと悲しみや孤独から抜け出すための
「時間」なのだなと気づかせてくれます。
と、よくよく考えて感じたので入れてみました。
似たテーマの作品として、
まだ途中までしか読んでいないのですが、
- 作者: 市川朔久子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/05/23
- メディア: 単行本
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も似た形の物語。
目の前で仲の良い同級生の交通事故を目撃し、
ショックで声が出なくなってしまった女の子。
こちらは「月の少年」よりももっと辛辣な、
女の子に対して向けられる、
声が出なくなったことへの押し付けがましい哀れみや、
求めてもいないのに手前勝手に差し伸べられる救いの手、
母親すらも女の子に非常に厳しい重圧を押し付けます。
そしてこの作品でも助けとなるのはおばあちゃんなのですが、
こちらにはもうひとりキーパーソンが出てきます。
それにしても、どちらの物語も、
どうしようもないような悲しみや苦しみのどん底に至った人に
対して「もっとゆっくり待ってあげようよ」という
世間への問いかけのようなものが感じられる作品でした。
さらに似た作品として
- 作者: 福田隆浩
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/06/27
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福田隆浩さんの最新作。
突然海の事故で亡くなった男の子の、
クラスメートたちの視点から描いたオムニバス。
クラスメートたちはそれぞれ彼の死が
何らかの形で肩にのしかかっています。
それを癒すのは、この作品では「思い出」。
クラスメートたちはふとしたきっかけで、
男の子が残した物や思い出を通して、
男の子と架空の「再会」を果たし、立ち直っていきます。
こうやって「再会」を重ねていくごとに、
この亡くなった男の子がどんな男の子だったのかが
徐々に明らかになっていく過程で、
読み手はクラスメートたちと同じように
「アイツはそういうやつだったよなぁ」と
一緒に思い出すような体験をしていって、
そして最後の最後に…良い結末が待っています。
福田隆浩さんは書く作品みんな面白いなぁ。
- 作者: 歌代朔,町田尚子
- 出版社/メーカー: あかね書房
- 発売日: 2011/09/01
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これは最初あまり食指が動かなかった作品。
表紙がいまいちなのと、
最初に読んだ時は数ページでなんだか
あまり文章に馴染めなかった印象があった。
しかし機会を改めて良んでみたら、
その第一印象とは全く異なる内容だった。
印象だけで毛嫌いしたらダメですね…。
受験勉強で塾に通う主人公が、
地下鉄の駅で電車をベンチに座って待っていたら、
隣に座ってきたのがシーラカンス。
これは主人公の幻想でもなんでもなく、
現実に「陸シーラカンス」という種として
地下鉄を生息域とし絶滅の恐れがある、
というトンデモ設定(本当はさらにとんでもない設定が…)。
しかしSFチックな出だしですが、
テーマはタイトルにもあるように「冒険」。
けっこう熱い物語でした。
ただ、今になって冷静に振り返ってみると、
冒険は冒険でも、昔の冒険小説の冒険とは明らかに違う。
「現代の子どもたちの冒険」という悲しい印象もあります。
魔女の物語 (〈魔使いシリーズ〉外伝) (創元ブックランド)
- 作者: ジョゼフ・ディレイニー,佐竹美保,田中亜希子
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2012/08/26
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ようやっと新作が出た!魔使いシリーズの外伝。
本編で出てくる魔女たちの過去が明かされます。
本編の魔使いたちの苦しくも崇高な使命に対し、
魔女たちの闇の暮らしや思想が描かれていて、
この外伝のポジションが本編と対照的で面白い。
それでいて「あぁ、本編のあれはこういうことだったのか」
という謎明かし的要素もあり、
まさにこれぞ外伝、という1冊でした。
あ、ちなに本編ももちろんオススメです。
ただ、今年はあんまり子どもたち読んでくれないけど…
(どうもこれも「バーティミアス」的ポジションじゃ
なかろうかと思い始めている)
また、ファンタジーというよりSF的?な
- 作者: ティモテ・ド・フォンベル,伏見操
- 出版社/メーカー: 岩崎書店
- 発売日: 2008/06/27
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- 作者: ティモテ・ド・フォンベル,伏見操
- 出版社/メーカー: 岩崎書店
- 発売日: 2008/09/25
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- 作者: ティモテ・ド・フォンベル,フランソワ・プラス,伏見操
- 出版社/メーカー: 岩崎書店
- 発売日: 2009/01/24
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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- 作者: ティモテ・ド・フォンベル,フランソワ・フ゜ラス,伏見操
- 出版社/メーカー: 岩崎書店
- 発売日: 2009/03/14
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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科学者と優しいお母さんの間に生まれた主人公、
トビー・ロルネス、身長1.5mm。
メートルではありません、ミリです。
この爪の先ほどの小人という設定と、
その小人たちが暮らしているのが木だという設定、
この2つの設定の描き方がまずすごい。
「木で1.5mmの小人が暮らしていたら、
きっとこういう生活に違いない」という
描写が多々あるのですが、よくこんなこと思いつくというか、
想像がつくよなぁ、という面白い描き方。
例えば蚊に刺されたらひとたまりもないとか、
牛じゃなくてゾウムシを飼っているとか。
その設定だけでも面白いのですが、
しかし真に面白いのは物語の方。
主人公は冒頭からいきなりかつて一緒に暮らしていた
木の人々に追われています。
何故追われているのか?それが徐々に明らかになってくにつれ、
この物語は我々人間社会の縮図であることがわかります。
その縮図の中であがくトビーやその家族、友人、
恋人たちの絆、勇気、愛。
伏線も多々あり、ユーモアもあり、大変楽しめました。
シリーズ物としては他に
動物と話せる少女リリアーネ〈7〉さすらいのオオカミ森に帰る!
- 作者: タニヤシュテーブナー,Tanya Stewner,中村智子
- 出版社/メーカー: 学研教育出版
- 発売日: 2012/04/01
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動物と話せる少女リリアーネスペシャル〈1〉友だちがいっしょなら!
- 作者: タニヤシュテーブナー,Tanya Stewner,中村智子
- 出版社/メーカー: 学研教育出版
- 発売日: 2012/09/01
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- 作者: 田島みるく
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2012/07/21
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- 作者: 村上しいこ,田中六大
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/08/09
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- 作者: リック・リオーダン,エナミカツミ,小浜杳
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2012/08/03
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- 作者: 令丈ヒロ子,カタノトモコ
- 出版社/メーカー: ポプラ社
- 発売日: 2012/07/05
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- 作者: 杉山亮,中川大輔
- 出版社/メーカー: 偕成社
- 発売日: 2012/09/10
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- 作者: 松浦寿輝
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2012/06/22
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などを購入中です(超有名どころは抜いています)。
「川の光」外伝出てたんだ…というか今検索したらDVDもある…アニメ化したの?
さて、最後に現時点で今年度最高の作品を。
- 作者: 朽木祥
- 出版社/メーカー: 偕成社
- 発売日: 2012/06/21
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現時点、というより多分今年度最高の作品となるでしょう。
これは読んだ直後の自分のつぶやきを引用して紹介します。
朽木祥「八月の光」。電車で泣きながら読んだ。あの8月6日に、残された人々が何を見、何を感じ、どう悲しみ、どう苦しんだのか。忘れ去られてはいけない物語。
読み終わってしばらく経つのに、まだ「八月の光」の物語から抜け出せないでいる。この「抜け出せない」というのがまさに朽木さんの思いに叶うのだろう。8月6日のことを忘れないで欲しい、記憶して欲しい、だからこそ書いたのだ、という作者の思いが込められた物語だった。
というわけで、以上で終わりです。
さて、3日も連続で更新したし、
またしばらく冬眠します(ぉぃ